リーダーが生まれないのではなく、生まれるたびに潰している
成人発達理論とは、人間の成人移行の成長・発展に焦点をあてたものです。簡単に言えば、大人も成長していくよねという理論です。
- リーダーの階層的な育成と成人発達理論
- リーダーを潰すとは
- 組織崩壊を防ぐ一番の手段「組織効力感」
- 組織効力感の欠如によるトレンドの変化
- 組織効力感の重要性
- 空中戦と地上戦
- 地上戦が上手くいかない理由
- まとめ
リーダーの階層的な育成と成人発達理論
リーダーが生まれないのではなく、生まれるたびに潰している
成人発達理論とは、人間の成人移行の成長・発展に焦点をあてたものです。簡単に言えば、大人も成長していくよねという理論です。
LV1 利己的段階
自分の目的達成が最優先です。他者への興味は薄く、道具のように扱います。
エゴ型プレイヤー 相手が考えていること?そんなのは興味ないです。あの人は使えるけど、あの人は使えないよね。
LV2 他者依存段階
他人基準での意思決定が多く、自分の想いを出せていないです。
ロボ型リーダー 上司の言われたことだけをこなしていたいです。
LV3 自己主導段階
自分の軸が強くなっているが、相手の意見をオープンに取り入れるのはまだ得意ではないです。
強いが脆いリーダー 自分の正義・信念は絶対に譲りたくないです。
LV4 相互発達段階
自分の軸を持ちつつも、相手の意見をオープンに取り入れて、自分の軸を出す時、出さないときを意図的にコントロールできている状態です。
強くてしなやかなリーダー もしかしたら、自分が固執しすぎているかもしれないです。
リーダーを潰すとは
、LV4のふりをしたLV3の上長(LV4だと勘違いしている)が、同じくLV3に上がってきた人に対して、「お前も大人になれよ」「生意気だ」でLV2に押し戻す現象が、生まれるたびに潰す現象です。
組織崩壊を防ぐ一番の手段「組織効力感」
組織効力感とは、相互依存性があり、お互いの長所を活かし補完しあうことです。逆は、単独依存性といい、全部自分でやる事です。
組織効力感の欠如で生じる問題に事業成長のダウントレンドに弱いという点が上げられます。
組織効力感までスコープに入れたマネジメントやリーダー育成をしないために、今まで右肩上がりで成長してきた組織が、「成長の踊り場」を迎えた瞬間に地盤沈下する現象が起きます。
組織効力感の欠如によるトレンドの変化
上昇中は、外部環境のけん引による組織効力感の発動です。成果が勝手にすべてを癒している状況です。
踊り場では、こういう状況だけどこの会社・この仲間とならまだまだいける気がするという状況です。
踊り場脱却の為には、意図的な組織効力感マネジメントによる停滞からの脱出が必要となります。
組織効力感が少ない場合、踊り場にて、「停滞状況だし、無理な気がする、ここの場所にいていいのか?」と人材が離脱していきます。
結果、組織効力感の負のループが発動し、事業成長がダウンしていきます。
このように、組織を離れていく「遠心力」が高まっている時代だからこそ、「正しい求心力」としての組織効力感が必要となります。
組織効力感の重要性
たったひとりで燃え続けられるほど、人は強くないです。「自分ひとりだと無理そう」→「この人たちとならやれそう」という気持ちが重要です。
遠心力が働きやすい時代、「自己効力感だけが高く、組織効力感が低い組織」は、空中分解していきます。組織を語る際の主語が、「私たち」でない組織は、ダウントレンドにきわめて弱いです。
空中戦と地上戦
空中戦とは、MVV刷新・人事方針の刷新・評価制度の見直し・1ON1制度・コーチングの導入・エンゲージメント調査の導入・360度フィードバックなど、空中戦作にだけ投資し、やってますアピールをすることです。メディアアピールです。ここで「課題完了」としてしまっているのです。
地上戦とは、各ミドルマネージャーが作り上げる組織風土=組織基盤とする目標掲げる事です。自ら高い目標を掲げ、学習を好み、この人たちと一緒なら目標も成し遂げられる組織効力感に満ちたユニットを作る事です。
挑戦する風土(ジョブクラフティング・オーセンティックリーダーシップ)
学習する風土(経験学習論・組織学習論・アンラーニング・心理的柔軟性)
人がつぶれない風土(リアリティショック・組織社会化)など、
人材育成の実態を担うことであり、「ラストワンマイル配送」の役割が地上戦です。ただし、具体的な支援が無いとうまくいかないです。
地上戦が上手くいかない理由
取り入れた組織サーベイ、エンゲージメントサーベイが「厳しい通信簿」となり、マネージャーの自己肯定感をむしろ下げる結果となります。「何をすればいいかわからない通信簿」を渡されているだけでは、自己肯定感が下がるだけです。不確実性の高いことに挑める・リスクテイクできる人が現れても、リーダーシップのコストパフォーマンスが悪化していることから、「この会社で挑戦したい」という雰囲気が薄まっていきます。
人事・組織施策においても、「メディア栄え」しやすい、空中戦施策に終始してしまいます。
メディアで映し出される「先進的な企業としての偶像」によって、「自社だけは特別な存在である」という企業ナルシシズムを拡大させてしまいます。
「うちは優秀な人材しかいません(相対感がない)」
「弊社のカルチャーや〇〇Wayは注目を浴びている。自社の方法論こそ、至高である」
盲目的な自己愛・自社愛は「自社のひずみ」を覆い隠してしまいます。ポジティブさの重要性が謳われる時代でも「現実的な楽観主義」と「盲目的な楽観主義」は別物であるということを認識しなければならないです。
まとめ
リーダー育成と組織効力感の重要性について解説しました。成人発達理論に基づき、リーダーは成長段階に応じて異なる特性を持ちますが、組織内での誤ったマネジメントにより、成長が阻害されることがあります。特に、LV4のふりをしたLV3の上長が、同じくLV3に上がってきた人を押し戻す現象が問題です。
組織効力感は、相互依存性を高め、お互いの長所を活かし補完し合うことで、組織の成長を支えます。これが欠如すると、組織は成長の踊り場で停滞し、最終的には地盤沈下するリスクがあります。組織効力感を高めるためには、意図的なマネジメントが必要です。
また、空中戦(メディアアピール)と地上戦(実際の組織風土作り)のバランスが重要です。空中戦だけに終始すると、組織の実態が伴わず、自己肯定感が低下し、挑戦する風土が失われます。地上戦を成功させるためには、具体的な支援と現実的な楽観主義が求められます。
組織効力感を高め、リーダーを正しく育成することで、組織全体の成長と持続可能な発展が可能となります。