人事・組織施策においても、「メディア栄え」しやすい、空中戦施策に終始してしまいます。
メディアで映し出される「先進的な企業としての偶像」によって、「自社だけは特別な存在である」という企業ナルシシズムを拡大させてしまいます。
人材採用募集
採用時、自社PRを強めすぎると「自社は優秀である」「業界が認める〇〇Way」が現実感覚を失わせ、「リスクと問題の否認が起きる」。PRによる「立派さ」が目立ち、勝ち馬にしたい人ではなく勝ち馬に乗ろうとする人の週比重が増加してくる。
対策として、一定数はしかたがないが、採用広報の工夫の余地はあります。
人材採用後育成
勝ち馬になる人と、勝ち馬に乗りたい人は紙一重ではあるが、人材育成手法を整備しきれていないので、採用後に勝ち馬として成長させられないです。
対策・たったひとりで燃え続けられる人はいないので、「自己効力感」以上に、「組織効力感」を重視する必要があります。
退職していく人材
たったひとりで燃え続けられるほど、人は強くないです。「自分ひとりだと無理そう」→「この人たちとならやれそう」という組織効力感が重要です。
組織を離れていく、「遠心力」が働きやすい時代、「自己効力感だけが高く、組織効力感が低い組織」は、空中分解していきます。勝ち馬としてせっかく育った人材も、「自分ならやれるけど、ここにいる必要はない」と思い、別の環境を見つけて、離脱し始めます。
「かつて輝いていた企業」
先行指標である人材の質・熱量密度が落ちる為、どんな新規事業に挑んでも「自分たちには無理感」が強まり、組織の実行力も落ち始めます。様々なループが幾重にも循環し「かつて輝いていた企業」へと転落していくのです。
なぜ人材採用の時点で間違うのか
「働き甲斐」ではなく、「働きやすさ」がメインの理由になってきているからです。
若手人材育成の環境変化と重要観点
1 キャリアの早期構築願望の高まり
逃げ切りの困難さを自覚している年代となっているのです。
ゆえに、「早くどこでも活躍できる人材」になりたいです。その表れとして「コンサルが人気」となっているのです。
2 「見切り」の早期化
大手企業の30~40代のマネージャーの時間軸(10年)と、若手20代のキャリアの時間軸(2~3年)が異なります。「ここにいて大丈夫なんだろうか?」という不安の芽生えがあります。
3 「いても無駄」の見切り
「このまま今の会社にいても成長できない」という思いです。
マネージャーの「心理的安全性の過剰なケア」が「優しいけれども、成長できない組織」を生み出します。先輩社員やマネージャーを見ても憧れず、「ここにいれば、いずれこうなってしまう」と悲観して離職します。
4 「言っても無駄」の見切り
生存者バイアスである、「過去にこうだった」「自分はこうやってきた」で提案が棄却されます。「自分の方が全方位で詳しくて、優秀で、経験もある」マネージャーが、話してくることに対して「言っても無駄」と思い、血気盛んな人から離職するか、心を折られてあきらめた人だけが会社にのこってしまいます。
結果 組織が衰退していってしまいます。
人材育成やマネジメントに関して体系的な理論を知ることで、「自分たちの当たり前」をアップデートし、組織としての共通言語化を進めていく事が非常に重要であり、組織運営・マネジメントの基本です。
まとめ
最終的に、企業が持続的に成長し続けるためには、単なる「メディア栄え」や「先進的な企業像」に頼るのではなく、実際の組織運営と人材育成に真摯に取り組むことが不可欠です。採用時の過度な自社PRは、現実感覚を失わせ、リスクと問題の否認を引き起こす可能性があります。さらに、採用後の人材育成においても、個々の自己効力感だけでなく、組織全体の効力感を高めることが重要です。若手人材の早期キャリア構築願望や見切りの早期化に対応するためには、組織としての共通言語を持ち、マネジメントの基本を再確認することが求められます。これにより、組織の実行力を高め、持続的な成長を実現することができるでしょう。